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ユースアクション新聞2023.07.27

小学校ではどんな教育がされている?

枚方市立東香里小学校ではどのような SDGs の取り組みをされているかについて、 磯西重行先生にお話を伺いました。

「自分ごとで考える」SDGs

東香里小学校では、社会貢献型探究に取り 組み「自分ごとで考える」ことを教育の上で大 切にされています。児童一人ひとりが問題を自 分ごととして考えることで、世界が抱える問題の 解決に取り組みます。その際、一番身近な問題と して捉えやすいのが SDGs だと言えます。その ため、SDGs に関係する探求学習を行うことで、 児童が自発的に物事を考え、問題解決できる力 を身につけられる環境づくりがなされていま す。

探求活動でロボットづくり

その探求学習の一例として「、未来をつくろうプロ ジェクト」を4 年生は行います。児童たちが「、現在、 世界ではどんな問題が起こっているのか?」を考え、 そこから SDGs の課題解決に取り組みます。例えば 水に着目をして学習を進めたグループでは、安全 な水を世界に届けるためにはどうしたら良いか。 もし世界中に安全な水が行き渡ったら、結果的に どうなるのかまで考え、意見をまとめました。その 中で、ロボットを使おうという案が出たことで、実際 にLEGOWeDo2.0を用いてプログラミングとロ ボットの設計製作。最終的には、自分たちが考えた ことや行ったことをまとめ、プレゼンテーションが 行われました。

SDGs、18 番目の目標を作ってみる

また、SDGs には 17 の目標があり、それらを授業 内で幅広く扱うために意識されていることについ ても伺いました。ある授業では、授業の一環として
「SDGs18番を作ろう」という取り組みがされており、 それが非常に興味深い内容でした。児童に目標の 18 番目を作ってもらって、各自がプレゼン動画を 作るという学習内容です。実際に出た案は「、清潔 な空気を永遠に」「誰もが安心できる地球を作ろ う」「安心できるインターネット社会」など。もし、 17の目標から選んでプレゼンをするという形をと る と 、ど こ か S D G s が 他 人 事 に な っ て し ま う 可 能 性 があります。例えば、身の回りのゴミを減らそう、 とか水道の水を止めよう、といったありきたりな 発想になるかもしれません。そこで、あえて18 番 目の目標を作ってもらうことで、児童自身、何が 大切なのかを意識しやすくなります。また、作っ た動画は予選としても機能し、通過した人はプレ ゼン大会に出場できるそうです。このプレゼン大 会は校内で行われていて、海外で有名な「TED TALK」を連想させる雰囲気なのが魅力的です。 YouTube に動画が公開されているので、興味があ る方はぜひご覧ください。

夏休み中の取り組み

このように、探求学習やプレゼンなどあらゆる 取り組みがされている中、夏休みの取り組みにつ い て も お 聞 き し ま し た 。 夏 休 み 中 は 、あ え て S D G s に関する宿題等は出さず、自主勉強を通して、児 童たちの探究心を尊重しているそうです。中には、 自主的にゴミを分別しにいく児童がいると聞き、 その自主性に驚きました。

テクノロジーの活用

児童たちには全員に iPad が配られていて、プレ ゼン準備の際にスライドを作ったり、板書の代わ りに Canva というアプリを用いたりしているよう です。一方で、あまりデジタルに頼りすぎないよ
うに意識し、あえてアナログも積極的に取り入れ るようにしているそうです。何かを考える際には、 付箋や模造紙を使い、周りの人と対話をしながら思 考を進めていくことも大切にされています。テクノ ロジーは便利な部分がありますが、手段が目的に なってしまうという難点もあります。あらゆるアプリ やテクノロジーを使うことに集中するのではなく、 手段としてのテクノロジーであることを意識してお くことが大切です。

これからのSDGs 授業の取り組み

こ れ か ら の S D G s 授 業 の 取 り 組 み と し て 「、 い ろ い ろなことに積極的に挑戦していきたい」という話を お聞きしました。震災についてのワークショップや、 共同プロジェクトとして異学年、異校種、海外、産学 連携などの取り組みをしたりなど。面白そうだと思う ことを、どんどんやっていきたいとおっしゃっていま した。


SDGs を自分ごととして捉えるために

最後に、「読者の方に、SDGsを自分ごととして捉えてほしい」というメッセージをいただいたので、 紹介します。今が良くないと、未来も良くならな い。過去も現在も未来も全て繋がっていて、その 延長線上にSDGs があると思います。それだけ私た ちの生活に身近な存在で、未来を良くしていくた め に 必 要 な こ と で す 。児 童 た ち に S D G s の 1 8 番 を 考えてもらったように、自分にとって何が重要かを 考えることで、SDGsを自分ごととして捉えられる きっかけになるのだと思います。