石鹸の回収事業からのスタート
第二次世界大戦の後、尼崎港には沢山の引き揚げ船がついていました。創業者である岡野嘉平が船から降りてくる人たちに向けて石鹸を作って売ったのが浜田化学の始まりです。そして、1970年頃に現会長が石鹸の原料である油の回収をスタートしました。当時、食材卸の尾家産業との繋がりから、グルメ杵屋が油の廃棄で困っていると聞いたことで、廃油回収を本格的に始めました。その後、マクドナルド、すかいらーくなどの飲食チェーン店がオープンしましたが、当時リサイクルをシステマチックに行っている会社がなかった為、浜田化学で廃油の定期的な回収を開始しました。
回収した廃油はどうなるの?
工場でやわらかい油と固まっている油を分けて、固まっている油は溶かします。油の中には水や粉が混じっているため、熱を通すことで、油とそうでないものを分離します。その後、分離した油はブレンドされてお客さんの手元に渡り、ハンドソープ、鶏のエサ、タイヤ、海外ではバイオ燃料など様々な種類の商品にリサイクルされています。弊社のハンドソープは廃油由来では国内で初めて医薬部外品認定を受けており、環境にやさしいだけでなく殺菌・消毒効果もしっかりあるのが特徴で
す。現在は、廃油からバイオプラスチックをつくるために、化学メーカーと協力しています。バイオディーゼルは、日本の廃油の質の良さから海外への輸出も多く、例えばヨーロッパで車の燃料に利用されるなど国境を越えてカーボンニュートラルに貢献しています。また、国内ではイベント等でご利用いただいており、ロハスフェスタや神戸ルミナリエの電力のほとんどは浜田化学のバイオディーゼル燃料で発電しています。
竹藪の竹を燃料として有効活用!
我が社の拠点がある淡路島で、住民の方が竹で困っていると聞いたことがきっかけで、竹への取り組みを始めました。竹は表層一メートルしか根をはらず、放っておくと地面が崩れやすくなってしまいます。そのため、ある程度人の管理が必要なのですが、管理に使う予算と若者の力がないことが問題でした。そこを解決するため、兵庫県とともに研究会を立ち上げ、燃料化、建材化などの出口開発と地域の活動グループとの交流による竹林整備の仕組みづくりを行なっています。
飲食店経営でSDGを達成を目指す
浜田化学は飲食店も経営しています。レストランの廃油を回収する中で飲食店には困りごとが沢山あること知り、自ら経営に携わることで理解できるのではと思ったことが飲食店経営に踏み出したきっかけです。現在居酒屋、とんかつ屋、喫茶店、アジア料理店を合わせて5店舗経営していますが、SDGsをどのように取り入れていくのかがこれからの課題だと感じています。お店の関係者全てがサプライチェーンとして繋がっているということを意識して、現在のサプライチェーンの課題やあり方を見直し、ロスのない持続可能な経営を行っていきたいです。また、今後は飲食店自体の在り方が変わっていくことが予想されるので、そこを変えていくことが経営者の仕事だと感じています。
気持ちよく働くための環境整備
働く上でベースとなるのは心持ちであると考えています。まずは、会社に関係する人の全てが、お互いを認め合うことから始めるべきだと思います。もちろん間違いや行き違いも時にはあるのですが、責めないようにしています。今後は従業員のお給料ももっと上げていきたいので、今の世の中に合ったビジネスの形を創っていく予定です。また、幸福感は自己成長によって得られることが多いので、チャレンジしやすい環境を今以上
に整えていきたいです。
新入社員からみた浜田化学
浜田化学は真面目な方が多い会社だと感じています。また、やってみたいと手を挙げたらチャレンジさせてもらえるなど、新卒一年目から沢山の経験を積むことができ、グンと成長できました。元々淡路島での廃校の活用などに関心があり、それを世の中に伝えるお仕事がしたいと考えていましたが、就職活動で役員さんのお話を聞く中で、社員の挑戦を前向きに考えてくれるというところに魅力を感じてそれが入社の決め手になりました。実際に働いてみて、やはりゼロからスタートすることも沢山あり、日々やりがいを感じています。廃油回収についてはあまり知らない状態で入社しましたが、広報の仕事の中で色々調べていく中で、廃油の回収の大変さやその後のリサイクルの流れについて学び、しっかりと伝えていかないといけないなと感じています。廃油回収の際は一店舗ずつトラックで回るのですが、一斗缶の一つの重さは10キロから20キロもあり、油を出す作業では大きな力が必要です。リサイクルの裏側は実は大変なんです。
社長から読者に対するメッセージ
ウクライナで戦争が起こっていますが、その大きな理由は資源の奪い合いだと思います。世界中の人に資源の循環の重要性を知ってもらい、みんなが効率よく大切に使うことで資源が行き渡り、平和が実現するのではないでしょうか。また、一人ひとりの意識も大事です。大量に作って大量に使うことをストップすることで戦争をなくせるのではないでしょうか。できるだけ省資源で世の中に物が満ち足りることを目指し、世界の子供たちを笑顔にしましょう。最後になりますが、リサイクルの現場で働いている人は大切な存在であり、その人たちが汗を流しているおかげで皆さんの普段の生活が回っているのだということを少し意識していただけると幸いです。c