枚方市立山田中学校で取り組まれている「み
らい・そうぞう学習」について、山本先生に お話を伺いました。
–––「みらい・そうぞう学習」を実施したきっ かけはなんですか?
山本先生 このプログラムは「探究」に重点 を置いており、1年生は「福祉探究・まちづく り探究」、2 年生は「食探究・生き方探究」そ して 3 年生は「みらい探究」で SDGs に取り組 んでいます。もともと、総合的な学習の時間 が教科や先生によって分担して実施され、バ ラバラになっているという状況がありまし た。また、近年のコロナ禍で、職場体験や保 育体験など、子どもが社会とつながる取り組 みを実施するのが難しいという現状もあり
ました。そこで、生徒が段階的に意識を高め、社 会とつながる「アクション」を起こしていけるよ うに、3 年間を見通した包括的な総合的な学習の 時間にコーディネートしなおしました。そして、 取り組む方向性が誰もがイメージできるように「みらい・そうぞう学習」というネーミングにし たわけです。
––– 授業ではどんなことが重視されていますか?
山本先生 全体テーマと学年のテーマを設定し ています。全体のテーマは「知覚動考(ともかく 動こう)」で、学年のテーマは、1年「気づく」、2年「つ ながる」、3 年「創り出す」になっています。どの 学年のテーマも貫いているのは「Trial and Error
(挑戦と失敗)」を繰り返し、どんどん動くことを 大切にしているところです。というのも、「Error(失敗)」は「学び」に変えるいい機会だからです。 生徒も教師も「失敗」を恐れず、「失敗」から学ぶ ことを繰り返していくことで成長し、いいもの を創り出していくのです。「これをしてもいいの かな?」という正解を求めるようなものではな く、「失敗してもいい。そこから学んでいける」 という学校としての「覚悟」を示すことで、子ど もたちがチャレンジできる「環境づくり」を重視 しています。
––– 先生方からご覧になった生徒さんの変化はご ざいますか?
山本先生 初めは子どもも探究的な学びを経験 したことがなく慣れていない部分がありました が、自分たちで学校外部の方々と関わって活動 をしてきました。募金活動やゴミ拾いをしたり、 発 電 装 置 を 作 っ た り 、1 2 / 8 開 催 の「 山 田 中 S D G s サミット 2021」に向けて3年生の生徒たちは様々 な「アクション」を実施し、多くの「気づき」があっ たようです。また、サミット時には 3 年生が主体 となって、1・2年生に対して自分たちの「アクショ ン」について発表し、一緒にSDGs の課題の解決 に向け話し合ったことも良かったようです。こ れ を き っ か け に 、1・2 年 生 も 含 め み ん な が 意 識 を 持つようになり、SDGsに取り組むことは、単に「調 べ学習」に終わるのではなく、小さなことでもい いので、「アクション」を起こすことが重要であ るということを理解するようになったと思いま す。サミット終了後、振り返りとして書いてもらっ た後輩へのメッセージにも、「もっと早くから取 り組んだほうがよかった」とか「絶対にやったほ うがいい」とか、これまでとは違った輝きのある メッセージが見られ、今までに経験してこなかっ た「学び」によって、いろんなことを経験して感 じたことが大きかったのだろうと思います。ま た、一人一人の生徒の変化を見て、一緒に取り組 んできた 3 年生の先生方も「楽しかった」という感想をくれました。この言葉に、教師も「やらさ れてやった」のではなく「一緒に楽しんで『探究』 をした」ということが表れているように思います。
––– 生徒さんは学校外部の方々とどう連携してい ましたか?
山本先生 学校外部の方々との連携については、 基本的には生徒たち自ら調べて交渉や連絡をす るようにしています。子どもたちは、「社会」と つながる経験ができるんですね。また、私自身 様々な研究会や研修への参加を通してつながっ た知り合いがいるので、「この人に話を聞いてみ たら」と子どもたちに紹介したりする場合もあり ます。また、それは他の先生方も同じで、生徒た ちより先に生きている者として様々な知識もも ちわせていますから、生徒に「丸投げ」するので はなく、「伴走者」として共に探究していくんだ という意識で、紹介や連絡をしています。時と場 合によっては大人の力が必要とされる時もあり ますから。
––– 読者の方々に一言メッセージをどうぞ!
山本先生 やはり「知覚動考」が大 切だと思いま す。リスクのことを考えすぎると踏み出せなく なってしまいます。どんなに小さいことでもい いので、怖がらず動き出してみましょう!