高校生 5名
大学・専門学校生 25名
合計 30名
参加学校
●高等学校
Christian Academy in Japan、N高等学校、飛鳥未来きずな高等学校、鹿児島情報高等学校、北海道芸術高等学校
●大学
University
of
Leeds、青山学院大学、追手門学院大学、神奈川大学、関西外国語大学、神戸女学院大学、芝浦工業大学、信州大学、創価大学、拓殖大学、玉川大学、東京
電機大学、東北芸術工科大学、長岡造形大学、日本大学、羽衣国際大学、兵庫大学、法政大学、立教大学、早稲田大学
2023年度テーマ
未来の「育ち」のデザイン
子どもたちは生まれながらにして自ら育つ力を持っていますが、子どもたちを取り巻く環境や、そこで起こる出来事は、子どもたちの成長に大きく影響します。
また今後の社会は、さまざまな背景を持つあらゆる人が排除されない「インクルーシブ」な環境設計が必要となります。多様な子どもたちの健やかな育ちを支え、引き出すデザインを考えてみませんか。
https://www.froebel-kan.co.jp/
参加学生:3組10名
・どのような課題を解決するアイデアか
このアイデアは、子どもの外遊びや人との交流の減少、親の過干渉
を解決するものである。近年、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、自宅で過ごす時間が増え、子どもが外で遊ぶ機会や友達との交流が減少している。さ
らに、子どもが思い切り遊べる場が年々減少していたり、習い事時間の増加によって遊ぶ時間の確保がし辛い状況である。そこで、子どもが自発的に行動できる
力を育みながら、性差や年齢関係なく地域の人々と関われるアイデアを考えた。このアイデアは、SDGs課題の「10 人や国の不平等をなくそう」、「11
住み続けられるまちづくりを」に関係している。
・アイデアの内容
「徒歩クエスト」は、子どもたちが自ら街へ冒険に出て、その体験を日記として記録でき
るカード収集型日記をつくる企画であり、小学校の低学年~中学年を対象としている。使用するのは、冒険のミッションが書かれた「ミッションカード」、クリ
アしたミッションの写真と体験したことを記録する「クリアカード」、クリアカードをアルバムとして収める「冒険の書」である。遊び方は、ミッションカード
とカメラを持って外出し、ミッションに沿った写真を撮り、冒険で発見したことを写真と文章を用いてクリアカードに記録する。このとき、親は子どもの身の安
全のために付き添うが、関与を最小限にすることで子どもの自立を促す。このアイデアによって、子どもたちは自分らしさを育み、未知の場所の発見や地域の
人々との交流を通じて、外遊びの楽しさを実感できる。また、親は子どもとともに冒険をすることで、子どもの考えることや楽しいと感じること、価値観を知る
ことに繋がると考えている。
・課題提供企業より
チームワークがよく、それぞれが自分の役割を
行い、全員でまとめ上げていたのが素晴らしかったです。それぞれの長所が上手く調和されて良いアイデアが仕上がったという印象を受けました。課題やアイデ
アを考える際に、子どもの感性に寄り添えているところも良かったです。子どもたちが自分らしさを育むことに対してあらゆる可能性が込められている素敵な企
画だと思いました。
・どのような課題を解決するアイデアか
子どもたちが社会問題について知らずに成長することで、差別的
発言や誹謗中傷がなくならない原因の一つになっているのではないかと考えた。これを踏まえ、子どもたちが社会問題を自分事として捉え、一人一人がどうすれ
ば問題解決できるかを考え、行動できるようになる施設(博物館)を考えた。また、このアイデアはSDGs課題の「1貧困をなくそう」、「10 人や国の不
平等をなくそう」、「12 つくる責任つかう責任」、「14 海の豊かさを守ろう」、「17 パートナーシップで目標を達成しよう」と関係している。
・アイデアの内容
「未来レスキュー」という子どもたちが楽しく学びながら世界の課題を知る企画である。
小学1年生~6年生を対象とし、SDGsの課題を用いて子どもたちに世界で起きている課題に対して問題意識を持ってもらうことを目的とする。子どもたちが
博物館で秘密の部屋に入り、未来を明るく変えるための「ヒーロー」として案内人に導かれる。5~6人で学年を縦割りにした班で行動し、4つの「悩み」を
ゲーム感覚で解決していく。「悩み」には、「かめたちをすくうためには?」、「ともだちになるには?」、「ものをたいせつにするには?」「ちがいってな
に?」がある。「悩み」を解決するごとにプロジェクションマッピングで未来が変わっていく様子を疑似体験することで、未来を変えている感覚を味わうことが
できる。最終的には、上記の悩みを解決したことで何を学んだのかを確認し、ゲームを楽しむだけでなく、今後も問題意識を持ち続けてもらえるようにする。
・課題提供企業より
初めは比較的綺麗に収まったアイデアが出されていましたが、次第に独自性のあるアイ
デアへと発展していったところが、見ていて楽しく感じられました。それぞれがアイデアを出していたところが最も印象的で、誰一人否定せず他者の意見を認
め、複数のアイデアを組み合わせて新しいものに発展させていたのが非常に良かったです。イベントを考える際、内容だけでなく、年齢の異なる子ども同士が共
に行動する中でどのようにすれば一人一人が活躍できるかなどの深い部分まで考察できていたのが素晴らしかったです。この経験は素晴らしい糧になると思うの
で、今後も活かしていただきたいです。
・どのような課題を解決するアイデアか
SDGs17の目標「4.質の良い教育をみんなに」をテーマに教育について取り組みたいと考え、ヤングケアラーである小中学生をターゲットとしたアイデア。
ヤングケアラーとは、障がいや病気を抱えており、ケアを要する家庭で、家事や家族の世話などを行う18歳未満の子供たちのことである。その子どもた ちが抱える悩みとして、学業や友人関係への影響、悩みを相談する人・場所がない、一人の時間の確保できないことから、心の休息が取れない、周囲の子供たち との違いによる負い目などがあり、将来の夢を諦めてしまうといったものがある。
現状では、社会でのヤングケアラーの認知度が低いため、社会での認知度を上げ、少しでもヤングケアラーの負担を減らしていくことを目指す。
・アイデアの内容
眼鏡をモチーフとした建物で、自然の広がる中で図書館や多目的ホールを利用できる施設を考えた。ヤングケアラーの時間のない問題を積極的なサポート により改善したのちに、教育に対して興味・関心を持ってもらうための施設である。施設自体はヤングケアラー以外の同世代の子どもたちも利用できる、学びと 遊び空間となっている。
施設内の図書館は“遊べる図書館”がコンセプトで、おしゃべりや交流の場としても使用できるようになっている。図書館入口は本に興味を持ってもらう ために迷路となっており、壁やドアには物語が描かれ、本が苦手な子どもでも自然と読書ができ、楽しめる空間である。図書館2階には一人の時間が欲しい子や 勉強がしたい子供に向けて、勉強スペースを設置する。多目的ホールではイベントや映画鑑賞、カウンセリングなど様々な用途として使用でき、親子でもくつろ げる空間となっている。これらの他にも食堂や畑もあるため、食育にもつながる。
・課題提供企業より
他のチームや企業の意見も真摯に受け止めて+αで考えられていた部分が良かったで
す。ヤングケアラーだけではなくそれ以外の子どもたちも通いやすような施設である点が非常に良いと感じました。また、子どもの年齢層も幅広く、私たちの
テーマでもある“多様な背景を持った子どもたち”に根差したもので、直接的ではなく間接的な提案で子どもたちの可能性をサポートする良いアイデアだと思い
ます。
ヤングケアラーはネガティブな印象を受けやすいですが、ポジティブに捉えて、経験を認めてあげるアイデアの企画性は私たちもとても参考になりました。
2023年度テーマ
10年後に人々が求める家
ヒット商品には理由があります。その時代の人が欲しいと思える要素がちりばめられています。
では、10年後に社会が求める家はどんな家でしょうか?
きっと10年間がもたらす進化もあれば、10年を経ても不変なものもあるでしょう。
10年後の社会を想像し、その時代の人々が求める家と、それを社会に浸透させる方法を考えてみましょう!
https://www.froebel-kan.co.jp/
参加学生:3組9名
・どのような課題を解決するアイデアか
企業テーマ“10年後に人々が求める家”をもとに、10年後の日本の社会課題に焦点を当てた。予想される課題として、未婚化・晩婚化による少子化と自然災害が増加傾向にあることから、一人っ子でも楽しめるかつ、耐久性・耐震性に優れた家を考えた。
SDGsの目標では、このアイデアを通して「3.すべての人に健康と福祉を」「7.エネルギーをみんなにそしてクリーンに」「12.つくる責任つかう責任」「13.気候変動に具体的な対策を」の解決に貢献できると考える。
・アイデアの内容
「ハニカムハウス」
ハニカムとはハチの巣のような正六角形の構造のことであ
り、衝撃吸収性に優れ、自然界で一番多い形として存在している。このハニカム構造の利点を建築に応用したものが、ハニカムハウスである。また、ハニカムハ
ウスは衝撃吸収性以外にもう一つの特徴として、増築・減築を可能にしている。各部屋がボックス型になっているため、取り外し可能で住む人のニーズに合った
家を組み立てることができ、いらなくなった部屋も取り壊すことなく切り売りすることができる。子どもの居る家庭の場合、子どもの遊び場を設けることも可能
である。吹き抜けになっているため、ロッククライミングやトランポリンで遊ぶことができ、トランポリンのようなバネを使用した遊具では、子供が遊びながら
家でエネルギーを貯めることもできる。ライフイベントに合わせて増築・減築できる機能性・社会性・有用性・斬新さあふれる家になっている。
・課題提供企業より
このチームはたくさんのアイデアを出してくれていて、柔軟で面白いアイデアがたくさん考えられていて良かったです。ハニカム構造は雑談の中で派生して出たのがきっかけのアイデアでしたが、斬新かつ面白くて素敵なアイデアに感じました。
L-2:チームおでん
タイトル:心も体もあったまるピザ窯ハウス
・どのような課題を解決するアイデアか
まず、グループメンバーの体験談から住まいにおける課題として、
寒暖差とヒートショックに着目した。ヒートショックとは急激な温度変化によって受ける血圧への影響である。冬場に温かい場所から寒い場所へ移動すると、身
体が温度変化にさらされ血圧が急変するため、脳卒中や心筋梗塞などを引き起こす可能性がある。少子高齢化と雪国の寒冷化に伴いヒートショック被害の増加が
懸念されるため、寒い地域でも安心安全に生活できるような仕組みを検討する必要があると考えた。
SDGsの観点からは、「3.すべての人に健康と福祉を」「11.住み続けられるまちづくりを」「13.気候変動に具体的な対策を」の解決に貢献できると考える。
・アイデアの内容
ター
ゲットを父(31)、母(30)、こども(5)、祖母(55)、祖父(55)の北海道暮らし二世帯5人家族と設定し、10年後もその先も住み続けていけ
る、心も体もあったまるピザ窯ハウスを提案する。まず家の構造は、耐震性、外圧への強度に優れる三角形のトラス構造とする。細かい骨組みが廃材利用に適し
ており、道内の廃材を利用することで運搬コストと排出ガスの削減につながる。また、家の形状をピザ釜型にすることによって、日中どの角度からでも日が当た
るため、熱が循環しやすく寒い地域でも暖かい。さらに、壁面を構成する三角形は色や材質、窓ガラスの設置、ソーラーパネル化など、住む人の好みにマスタマ
イズできる。ドーム状のためソーラー発電の効率が良く、自家発電のみでエネルギーを賄い、さまざまな用途に活用できる。
ガレージ付き2階建てとし、24時間稼働の暖房で家全体を暖める。熱が循環するよう、2階は支柱で支え壁面と間隔をあける構造となっている。
・課題提供企業より
今回のテーマについて、家にはたくさんの要素があり、さらに変化が目まぐるしい今の
時代に10年先のことも考えなければならないという点が難しかったと思います。最初、お風呂から考えていたときはどんな家になるか見えていないようで想像
を膨らますのが大変だったかと思います。しかし、日が経つにつれて家全体のドーム型の形が見えてきたところから、どんどんアイデアが出てきて、こちらもワ
クワクしました。最終的には構造、設備、デザイン性、エネルギーのさまざまな角度から住宅についてまとめられていて、完成度が高かったです。発表にあたっ
てかわいいイラストを描いたり、情報の裏付けをきちんと調べ文章化したり二人のチームプレイが良かったです。
L-3:ゆうゆうじてき
タイトル:子育て世代の家族がコミュニケーションをとれる家
・どのような課題を解決するアイデアか
企業の方のテーマである“10年後に人々が求める家”とSDGsの17の目標から、これから10年後の社会に求められる家について考えた。近年の問
題として、子どもたちの自然とのふれあいの減少、出生率の減少、共働きによるコミュニケーションの希薄化、待機児童の深刻化などが挙げられる。働きながら
子育てをする親の負担を少しでも解消し、より良い親子関係を育むアイデアである。
また、SDGsの観点からは、「1.貧困をなくそう」「3.すべての人に健康と福祉を」「11.住み続けられるまちづくりを」「12.つくる責任つかう責任」の4つに貢献できるアイデアとなっている。
・アイデアの内容
小学校低学年までの子どもがいる共働きの家庭(20代~40代後半の親)がターゲットで、子育てに特化した、幼少期を過ごすことを考えた賃貸。
コの字型の建物で、建物内の構成として各家庭の部屋と共有スペースがあり、真ん中の広場では子どもたちが外遊び出来るつくりとなっている。各家庭の
個室の造りのポイントとしては、リビングが見渡せるキッチンや、一部の壁をホワイトボードにする、広場が見えるベランダなどがある。共有スペースとして
は、託児所、体育館、図書館と広場の一角に畑を設置する。これらの共有スペースが待機児童の解消、お迎え時間の短縮、体を動かす環境の確保、コミュニケー
ションをとる機会の増加につながり、子どもの学び・成長を育むとともに、幼少期の子育てならではの問題解決になる。
・課題提供企業より
企
業テーマが“10年後に人々が求める家”ということで抽象的で悩ましい課題ではあったのですが、今回、子育てに特化した賃貸住宅という形で具体的に考えら
れていた点が良かったです。改善点としては、10年後の問題としてゲーム依存や、スマホ依存についてマイナスに捉えすぎている部分があると感じたので、こ
れから10年後にIOT化やインターネットの普及がどのように子育てに役立っていくのかを考えられるとさらに良い案になっていくと感じました。
2023年度テーマ
小さな村での豊かな学び
岡山県西粟倉村で現在進めている、小さな村の子どもたちへ放課後の学びの場づくりについて、一緒に考えてみませんか。
また豊かな学びとは何か、豊かな暮らしとは何かも、皆さんと一緒に考えながら、新たなアイデアを探っていきましょう。
http://www.slow-home.jp/
参加学生:3組11名
W-1:子ども守る隊
タイトル:EX西粟倉村
・どのような課題を解決するアイデアか
このチームでは、探検×交流(Exploration & Cultural exchange activity)を軸としたアイデアである。
SDGsの目標15「森の豊かさも守ろう」に焦点を当て、村の90%以上を森林が占める西粟倉村で抱えている森林破壊の問題を解決しつつ、「豊かな
学び」を広めてきたいと考えた。「小さな村での豊かな学び」として、学校では得られない体験や子どもたちが西粟倉村を知ることなど、村を出たあとのために
“探検×交流”が必要である。
「豊かな学び」はどこでできるのか?そんな時に「例えば(Example)西粟倉村でできる!」になることを目指す。
・アイデアの内容
『子どもOSランゲージを活用した宝探し』
西粟倉村以外の地域の方も参加でき
るアイデア。木と木の間を通り抜けたり、背丈の低い木をくぐり抜けたり、集めた木の実や落ち葉の中に宝を隠す仕掛けなど、村の森林を生かした宝探しを行う
ことで、子どもたちが村を楽しみながら知ることができる。森の中に遊びを入れ込むことで自然に触れる機会をより増やすことができ、自然の良さを知ってもら
える。
YouTube『西粟倉村channel』立ち上げ
YouTubeを使って世界に西粟倉村の魅力を発信するアイデアである。この
YouTubeは子どもたちが主体となり、コメントなどで交流を深めるとともに、子どもたちの学びの場となることを目指す。森編では「森を探検してみ
た!」「木で楽器を作ってみた!」「施設の中大公開!」都会編では「都会へLet‘s
go!」「突撃インタビュー 西粟倉村長/村の子供たち/〇〇県の人々…」など子供たちが率先して企画を考え、楽しみながら他の地域の人たちにも西粟倉村
について知ってもらうことを目指す。
森の探索隊『あわもり隊』
森で見つけた動物・昆虫・植物を見つけて世界に一つだけのオリジナ
ル図鑑を作るアイデア。入隊希望者に西粟倉村の特産品である杉や檜を使用した木のファイルを贈呈する。週に1回活動し、探索して見つけた生物を撮影・観察
してMy図鑑として集めて綴じていく。出来上がった図鑑はゲーム性を掛け合わせて、神経衰弱や、クイズ、カード交換なども行えるようにし、図鑑というコレ
クションでありながら、ゲームとして遊ぶこともできる。また、他地域の子どもとの交流のきっかけとしても活用できる。他地域の小学校と図鑑を交換し、その
地域ならではの生き物を知ることもできたり、小学校や他地域の図書館に置かせてもらい普及につなげることで、お互いの良さを知ることができる。
・課題提供企業より
発
散と収束が繰り返し行えていて、フィードバックも行えていた点、軸やスタンスがしっかり明確であったのが分かりやすかったです。特性ファイルの案が図鑑と
してだけではなくて、ゲーム性も取り入れて工夫されている部分がとても良かったです。このアイデアを実現する際には、探索の時に、学びが仕掛けられるよう
な工夫があるとより良くなると感じました。
・どのような課題を解決するアイデアか
現在の西粟倉村の課題として、外部の地域との交流が少ないことが挙げられるため、交流機会の場を増やし、子どもの知的好奇心を刺激する活動ができるプロジェクトを実施したいと考えた。
また、SDGsのゴールとの関連としては「4.質のいい教育をみんなに」「8.働きがいも経済成長も」「11.住み続けられる街づくりを」「17.
パートナーシップで目標を達成しよう」が関係しており、今回提案するアイデアが西粟倉村の子育てを支援につながることを目指している。
・アイデアの内容
メインターゲットとして学校外で学習機会が少ない子どもたち、サブターゲットとして子どものコミュニケーションに悩みを抱える親世代、地方での勤務に働きづらさを感じる働き手へ向けたアイデアである。屋外と屋内ではそれぞれ異なった役割がある。
「OUR FOREST」
“私たちの森”から転じて“私たちが作る、私たちが集まる自然の中の自分たちの居場所”という意味で地域の方が愛着を持って楽しく利用できる屋外施設を作る。
屋外ではたくさんの物事を主体的になって乗り越えていく力や、自然に触れながら周囲の環境との関わり方を学んで欲しいと考えており、頭と体を連動させた遊びで楽しんでもらう。例としては、西粟倉村にまつわるクイズやアスレチックの攻略法を考えるなど。
また、アスレチック内にあるクイズに正解すると、カラフルなリストバンドを手に入れることができる。もらったリストバンドは屋内の壁にかけてアート
として楽しんでもらうことで、成功体験を可視化にも繋がるため、学びにつながると考える。アスレチックを通して主体的に学びを促し、その先のアウトプット
まで子どもたちが行えることを目的とする。
「STUMP」
切り株をモチーフとしたコミュニティハウス。西粟倉村の特産であるヒノ
キや杉から“木”をイメージした建物で、屋外アスレチックの中央に設置する。建物の形を円柱形にして窓をたくさんつけることで屋外アスレチックで遊んでい
る子供たちを360°見渡すことができるようになっており、親同士が話しながら子供たちを見守ることができる。
屋内の構造としては、ネット環境のある全面黒板のコワーキングルームフロア、巨大ホワイトボードフロア、ボルダリングフロア、カフェフロアの4つのフロアを作り、子どもたちが屋内でも遊びつつ、子育ての親同士の話の場としても活用できる施設になっている。
STUMPが子どもたちの学びの向上の場となり、同時に親世代の子育てに対する悩みや孤独感を軽減させ、西粟倉村での子育ての意欲向上につながることを目指す。
・課題提供企業より
役
割・目的がしっかりできていて、プレゼンの内容もいろんな人の色んな立場を考え、配慮した建物を考えられているチームでした。ターゲット層を大きく絞らな
かったことで、サブターゲットに同時にどのような変化が現れるのかを考えられていた部分が良かったです。プロセスもアウトプットも継続性のあるもので村に
効果のある素敵な提案だと感じました。
建築空間の提案は手に取れないため、見ている人たちに分かりやすく伝えることは難しかったと思いますが、イラストで構造をわかりやすく説明していたのでとても魅力が伝わりました。
・どのような課題を解決するアイデアか
和田デザイン事務所テーマである「小さな村での豊かな学び」の“豊かな学び”とは何か、“豊かな暮らし”とは何かを考えた。そこで挙げられる西粟倉村の課題として、
1.文化部が少なく文化的な学びの場が少ないこと
2.村の外、グローバルな関わりが少ないこと
3.ジェンダー教育にもっと力を入れることなどがあると考えた。
これらを解決するうえで、西粟倉村のいい所であるアウトプットの場があるということを活かして、課題と掛け合わせたアイデアが「協力型ミッションゲーム」である。
・アイデアの内容
「協力型ミッションゲーム -Mission Possible-」
ター
ゲットは主に小学生。ゲームに使うものとして主に2つあり、1つは長い帯状の“つながリング”を七夕の飾りのようにガーランドにしたものであり、名付けて
「つなガ―るンド」。2つ目はミッションの書いてあるミッションカードである。カードは西粟倉村の特産品である木を使った木製のカードである。これら2つ
のアイテムを用いてゲームを行う。はじめに、つながリングの色・形を決めて、ミッションカードを引く。引いたミッションカードの内容をみんなで協力してク
リアし、結果に応じてつながリングを繋げてつなガ―るンドを作っていく。出来上がったつなガ―るンドは集めて学童クラブなどに展示していく。
この
ゲームはミッションをクリアするごとにつなげていくため、“頑張った”、“助け合った”といった結果を可視化できるところがポイント。また、進学などで村
を出て、戻ってきたときにアーカイブとして残しておけるため、地元を懐かしむきっかけにつながる。ミッションに使いたい題材として、音楽・工芸・家庭科な
ど村の課題である文化的なものをもっと取り入れたり、月ごとにテーマを決めて月のイベントと掛け合わせたミッションを考える。このゲームを通して「多様
性」を大切にして認め合うことや、「相互補助の大切さ」を学ぶことを目指す。
・課題提供企業より
西粟倉村の固有性を活かしながら、キーワードを何度もリサーチできていて良かったです。
チームでアイデアを出すうえで大切にしていた「多様性を知り認めること」から生じる変化を小さな変化と大きな変化という中期と長期に分けて考えていた部分や、参加性・継続性のあるアイデアで、アーカイブとして残せる点も良かったです。
多
様性という抽象的に捉えられやすいキーワードでしたが、可視化できるゲームにすることでリアリティーのある概念になったように感じました。自然の学びで
は、動物のアイデアが収束していましたが、多様性を子供たちがよりイメージしやすくなるし、子どもたちが村に触れる機会にもなると思うので次に繋げてほし
いと思います。